イラストレーターになりたい三毛猫のミッチ。
ベテラン画家のサンジロー師匠に弟子入りしています。
1〜3点透視図法を理解して
何でも描けるようになってきたミッチ。
でも、理屈通りに描くと不自然になっちゃうコトが!
どうしたらいいの?
ついに背景パースの説明は最終回。
今回はパースの応用編、ちょっと上級者向けのお話し。
第19話☆
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/pers_comic_38.jpg)
![パース解説マンガ39](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/pers_comic_39.jpg)
こんにちは、
イラストレーターのかんざきかりんです。
背景のパースの話しも最後になりました、
今回は、おそらく三点透視まで理解した先に
みんな行き当たる問題、
一点透視のパースラインがなんか気に入らない!
と、いう時どうするか?説明したいと思います。
基本の透視図法を踏まえた上での
ちょっと上級者向けなテクです。
でもやり方は簡単☆
もくじ
一点透視でパースラインを自分好みに調整したい
例:狭い部屋で身動きとれないアリス
今回の4コマの中で、ミッチが描いていたアリスのイラスト。
部屋の中で大きくなっちゃった場面なので、
「狭い感じ」を出したいんだって。
では、基本の一点透視図で描いた場合と、
うそパースの消失点を作った場合で
どう見え方が違うか見てみましょう。
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_uso_06.jpg)
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_uso_07.jpg)
★上が普通に一点透視で描いた背景のパース。
★下が消失点を左右2点に分けた「うそパース」
キャラは全く同じなのに、
下の方が、壁が迫っていて狭くてきゅうくつに見えませんか?
影や色をつけることによって、
もっとそういう感じを出せますよね。
こんな風に少しルールから外れて
必要な演出意図を優先するのもアリかと思います。
パースは「絵を描く道具」にすぎないので
理屈に囚われず、
目的を優先して応用して使っていきましょう!
例:四畳半の部屋
もう一例、4コマで師匠が座っていた四畳半。
これもさっきのアリスの絵と同様、狭くしたいと思うなら
同じように消失点を分けてみましょう。
↓まず、基本の一点透視図で描いた場合
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_uso_03-1024x691.jpg)
↓消失点を左右に離して2点に。だいぶ狭い感じになりました。
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_uso_04-1024x691.jpg)
↓今度は消失点を左右逆に離して、パースラインの傾きをゆるくしました。
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_uso_05-1024x691.jpg)
ところで、左右のグレーのスペースは、
狭い部屋なので、扉なり壁なりがあって見ること(描くこと)が
できないスペースです。
イラストの仕事だと、画面比率は割と自由ですが、
アニメだと横長のフレームサイズが固定されていますよね。
狭い場所でも、横長の構図にしないとならない時も、
この三枚目の方法は使えるかと思います。
また、余談ですが
特に、こういう↑師匠のような「2Dゆるキャラ(?)」は
きついパースと合わないですね!
キャラがリアルでないので、
望遠気味の背景の方がウソがばれず、
マッチするみたいです。
例:横長の絵や、見渡すような背景
今度は逆に、広く見せたいとか
アニメならカメラが横に動いて見渡しているようなカットの背景。
イラストなら一枚の絵で左右にあるものも見せたい説明的イラストの時。
さっきの四畳半の三枚目の絵のように、
消失点を逆に離して描くことがあります。
これも参考例をどうぞ。
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_uso_08.jpg)
ブルーが右の壁面のパースラインです。
人間の目だったら(まあカメラでもそうですが)
広いスペースを一瞥で一望することはできないので
(ふつう、目線や首を振って見渡しますよね)
だから絵で描く時も、消失点を移動させつつ描いていくのが
自然かなあと思います。
でもアナログで「消失点を移動させながら描く」なんて
大変なので、
左右の壁のパースラインを決める2点を設定し
床面に等間隔の要素(フローリング板やタイルなど)があったら
2点の間を均等に割っていき、線を引くといいかもです。
全く何のルールもないと、
キャラを配置したり動かす時に絵が破綻してしまうことがあるので
ある程度のルールは守りつつ
上手にウソをついて創造していくと良いかなと思います!
望遠ぽいパース感&キャラの顔の見せ方
さて、ちょっとキャラの話しに入ってきますが、
同じ理屈なので説明してみましょう。
例えば
「向かい合ってお茶してる二人を横から描いて」
というお題があったらどうしますか?
基本の一点透視図で背景を描いて、
そのパースラインに合わせてキャラを描くと
大体こんな感じでしょうか(↓)
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_uso_01-1024x724.jpg)
顔や体が左右に少しそれて見えます。
(ピンクの線が体の中心ラインめやす)
ではこれを、消失点を左右に分けて望遠ぽくした場合
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_uso_02-1024x724.jpg)
こんな感じでしょうか。
向かい合っている感じですね。
ちょっとイラストというより「図」のような感じですが
例えば遠くからこの二人を見ている人の見た目なら
カメラでズームした感じ(望遠ぽい)で
こんな風に見えるかと思います。
どちらがいいとか悪いでなく、
その時々、望まれている絵・必要な構図はどっちかな?
と考えて使い分けてください!
(とはいえ、特にテーブルのパースなどは、
一点だと人間の見た目とはだいぶ印象が違うので
個人的に気になるところです。)
例を挙げるとキリがないですが、
またいいサンプルがあったら追加していきますね。
さて、今回はやることは簡単ですが
必要に応じてどういう意図で使うか?
というのがちょっと上級者向けでした。
いろいろ試してみてください!
さて、「ミッチの猫でもわかるパースの話し」
約19回にわたり説明してまいりましたが、
ここで背景の話しは一区切りです。
たいへんお疲れ様でした!
知識を身につけたらあとは実践のみ!
そこで
パース感覚が身に付くワークブックを作りたいなあと
思っていたのですが・・・
せっかく背景が描けるようになったら、
キャラをうまいこと乗せていきたいですよね。
なのでワークの構想も練りつつ、
次回からは「パースの話し☆キャラ編」に
突入していきたいと思います。
キャラがうまく描ける、というのと
パースとは、切っても切れない関係かと思います。
どうぞお楽しみに!
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★マンガで解説!ミッチの猫でもわかるパースの話し 目次
- 第1話「キャラがパースに乗ってない!」
- 第2話「パースを学ぶメリットとは?」
- 第3話「キャラを描くとき、どこから描く?」
- 第4話「アイレベルって何?」
- 第5話「キャラと背景のパースを合わせる」
- 第6話「閑話休題」
- 第7話「一点透視図法」
- 第8話「二点透視図法」
- 第9話「二点透視の2点てどうやって決める?」
- 第10話「二点透視図の2点の距離でどう変わる?」
- 第11話「三点透視図法で高さの遠近感を出す」
- 第12話「三点透視図の3点目ってどうやってとるの?」
- 第13話「パース実践編突入 センターをとれ!」
- 第14話「等間隔の床や壁の描き方」
- 第15話「モノが斜めに置かれたらどうしよう?」
- 第16話「坂道・階段の描き方 傾きのパース」
- 第17話「食器がテーブルに乗らない!パースに円を乗せる」
- 第18話「アーチ型をパースにのせる 円のパース応用編」
- 第19話「うそパース・にせパース 一点透視応用編」