イラストレーターになりたい三毛猫のミッチ。
ベテラン画家のサンジロー師匠に弟子入りしています。
前回、モノの「センター」をとって
等間隔モチーフのパースが取れるようになったミッチ。
すかさず師匠から新しい課題が突きつけられます。
画面の中に置かれたモノが斜めに動いた時、
パースラインはどう変化するんだろう?
第15話☆
![パース解説マンガ](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/pers_comic_29.jpg)
![パース解説マンガ](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/pers_comic_30.jpg)
こんにちは、イラストレーターの かんざき かりん です。
ついに11月に突入し、今年も残り少なく焦りますね💦
年内に完成させたいパース解説シリーズです。
また時間が空いてしまいすみません、
今日は前回の応用編、
一点透視図法で
パースラインに並行&画面に対して垂直に置かれたものが
そこからズレた時、
つまり斜めに置かれたもののパースラインは
どこに収束するのでしょう?
これもとても簡単なことなので、覚えておくと
なんかパースが変だなあ〜と感じたときに
さっと直すことができて便利ですよ。
もくじ
画面に水平垂直に置かれたサイコロ
さて、今回のマンガは、解説のための導入にすぎません!
先生を呼んできてもパースの疑問は解決しません^^;
ではどうするかを順を追ってみていきましょう。
まず、前回解説に使った、一点透視図法の部屋に、
わかりやすくサイコロ(立方体)を置いてみます。
![](https://i2.wp.com/kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_naname_01-1.jpg?fit=640%2C453&ssl=1)
★黄色いサイコロは、
アイレベルと並行、画面に垂直に置かれているので
一点透視の消失点から線を引けば
簡単に描くことができますよね。(青線)
★一点透視図法というのは、
要するに二点透視図法の特殊版で、
片方のパースラインが水平になる場合、なんですよね。
★アイレベルって何?っていう人は→第4話
★一点透視図法って何?っていう人は→第7話
サイコロがパースラインからずれたら消失点はアイレベル上を移動
さて、マンガでは「昭和な不良」が机を蹴飛ばしていましたが、
机って結構書くのがめんどくさく複雑なので
引き続きサイコロでわかりやすく説明していきたいと思います。
先ほどの黄色いサイコロが、赤いサイコロの位置に
ちょっとズレたとします。(床面での移動)
![](https://i1.wp.com/kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_naname_02.jpg?fit=640%2C453&ssl=1)
すると、パースラインが収束する消失点は
アイレベル上を移動します!(A→B)
★右のパースラインはBへ収束。
左のパースラインは、サイコロ黄色の位置では画面に水平でしたが、
赤いサイコロの位置では新たに生じた左の消失点に収束します。
(見えませんが、左画面外のアイレベル上・みどり線)
つまりこの赤いサイコロは、
二点透視図法で表されることになりました。
世の中は複雑で、何もかも画面に水平・並行なモノだけではない。
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_naname_05-300x200.jpg)
モノはいろんな角度で画面上に存在するので、
一点透視図法だけで日常の風景を描けることは
ほとんどありませんね!
*二点透視図法についてはこちら↓
サイコロの高さが変わったら?
さっきは床面での移動でしたが、
高さが変わるとどうなるでしょう。
![](https://i1.wp.com/kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_naname_03.jpg?fit=640%2C453&ssl=1)
サンジロー師匠がさっきのサイコロを真上に持ち上げたとします。
(緑のサイコロ)
これは簡単ですね、パースラインは
さっきの二点透視図の左右の消失点に収束します。
サイコロの傾きが変わったら?
さっきは真上に持ち上げられたサイコロですが、
今度は真上じゃなくて少し傾いたらどうでしょう。
![](https://i0.wp.com/kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_naname_04.jpg?fit=640%2C453&ssl=1)
サンジロー師匠が、少し後ろにサイコロを傾けました。
すると、今度はアイレベルが下の方に移動します!(青線)
(サイコロに若干縦パースもついています。
傾きが大きいほど、縦パースがきつくついてきますが
とりあえず今回は角度が変わるとアイレベルが移動することを
覚えておいてください。)
このように、複雑なこの世界では
画面上のモノごとに
それぞれのパースライン、消失点、アイレベルが
存在するわけです。
なんてめんどくさいんでしょう(笑)
最初はめんどくさいですが、
そのような理屈なんだということをわかって
何度か書いているうちに
自然に良い感じに描けるようになっていきます。
デジタルで描くときは、作業は早くなるけど
理屈をわかっていない上にパース感覚が身についていないのなら
おかしな絵になってしまいますから
まずはわかっておくのが最初の一歩です。
画面上でいろんな消失点があるイラスト例
![](https://kanzakikarin.com/wp-content/uploads/mitdh_pers_naname_06.jpg)
このようにカーブした川沿いに家が立ち並んでいるとき、
それぞれの家ごとに消失点があるのがわかるでしょうか。
例えば
水色の家のパースラインは、Aの消失点に
黄色い家のパースラインは、Bの消失点に
収束しています。
その間の家々の消失点も、A〜B間に存在します。
右側の家並みも同様です。
徐々に消失点をずらしながら設定し、
カーブ沿いの家を描いていくことになりますね。
もちろん川でなく、道のカーブ沿いに家があっても同様です。
これでちょっと手の込んだ印象の背景を
描くことができそうです!
さて、今回は簡単でしたね!
次回は、今日の基本を踏まえて、
具体的に屋根や階段の描き方を説明したいと思います。
お楽しみに!